障害年金とは

障害年金とは、病気やケガが原因で労働に支障がある場合や日常生活に困難がある場合に、一定の条件を満たしていれば国から支給される公的年金制度の一つです。

公的年金制度には、給付事由によって以下の制度があります。

  • ①一定の年齢に達したときに受け取れる「老齢年金」
  • ②病気やケガで労働・日常生活に支障があるときに受け取れる「障害年金」
  • ③家族の働き手を失ったときに受け取れる「遺族年金」

①の「老齢年金」や③の「遺族年金」は、世間的にも比較的知られており、実際に受給されている方も多いのかと思います。

しかし、②の「障害年金」は、制度自体をご存知ないという方が多いのが実情です。障害等級に認定されるような状態の方であっても、“どのように手続きをすすめていいのかわからない”、“体調が悪くて手続きを行うことができない”などの理由で諦めてしまっていないでしょうか?

障害年金は、障害等級認定に該当したときに、速やかに適切に申請するのがベストです。

当事務所では、障害年金制度のことを一人でも多くの方に知ってもらうとともに、障害をお持ちでお困りの方の精神的・経済的な悩みを少しでも軽減し、お役に立てるよう全力でサポートいたします。まずは、お気軽にご相談ください。

  • 対象となる傷病
  • 障害年金の種類
  • 障害年金の金額
  • 受給の条件
  • 必要な書類
  • 原則として20歳~64歳までの方が対象となります。
  • 下記は、障害年金受給対象となる主な疾病となります。

障害年金の対象となる主な疾病

ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるものを含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜剥離、網膜色素変性症、腎性網膜症、糖尿病網膜症、癒着性角膜白斑など
聴覚
平衡機能
感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、薬物中毒による内耳障害、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害など
鼻腔 外傷性鼻科疾患
口腔言語
(そしゃく言語)
上顎癌、上顎腫瘍、咽頭腫瘍、咽頭全摘出手術後遺症、上下顎欠損、失語症、脳血栓(言語)など
肢体の障害 事故によるケガ(人工骨頭など)、人工関節、変形性股関節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺背柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、脳血管障害、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎など
精神障害 うつ病、双極性障害、統合失調症、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマーなど
呼吸器疾患 気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、濃胸、肺繊維症、肺気腫、呼吸不全など
循環器疾患 心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性心疾患など
腎疾患 慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など
肝疾患 肝炎、肝硬変、肝癌など
糖尿病 糖尿病(難治性を含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症など
血液 再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症など
その他 人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、膀胱癌、子宮頸癌、直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病など

我が国の公的年金制度は2階建の制度となっております。1階部分が「基礎年金(国民年金)」2階部分が「厚生年金、共済年金」となっています。

障害年金も公的年金制度の一つですので、障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金の3種類に分かれています。

すなわち初診日(初めて医師または歯科医師の診察を受けた日)の時点で国民年金にのみ加入していた場合は障害基礎年金だけですが、厚生年金や共済組合に加入していた場合は、同時に国民年金にも加入していることになりますので、1・2級なら障害基礎年金と合わせて障害厚生年金や障害共済年金も同時に受給できます。
※平成27年10月1日の被用者年金一元化により、共済年金は厚生年金に統合されました。

障害基礎年金

障害基礎年金は、2階建てになっている年金の1階部分です。

日本に住んでいる20歳から60歳までの人は、すべて国民年金に加入しているので、全ての人が障害基礎年金の対象となります。

自営業・専業主婦・学生の方などは、国民年金だけの加入ですので、障害基礎年金のみが支給されます。

障害等級は1級と2級の2段階に分かれていて、子供に対する加給年金もあります。

障害厚生年金・障害手当金

障害厚生年金は、2階建てになっている年金の2階部分です。

サラリーマンやOLが加入する、厚生年金に加入中であった期間に初診日があれば障害厚生年金が支給されます。

障害厚生年金は、1級・2級及び3級の3段階に分かれていて、障害等級が1・2級であれば障害基礎年金も合わせて支給され、さらに配偶者に対する加給年金も支給されます。3級であれば障害厚生年金だけが支給されます。

また障害等級1~3級に該当しなかった場合でも、一時金として障害手当金が支給されるケースもあります。

障害手当金は障害基礎年金にはない制度です。障害基礎年金は、2階建てになっている年金の1階部分です。

障害基礎年金(2024年度)※括弧内の金額は、昭和31年4月1日以前に生まれた方

国民年金・障害基礎年金には1級と2級があり、年金額には以下のようになります。

1級 1,020,000円(1,017,120円)+子の加算
2級 816,000円(813,700円)+子の加算

子の加算について

「18歳到達年度末日(3月31日)までにある子」「20歳未満で障害等級1級または2級の障害にある子」がいる場合に、以下の額が加算されます。

第1子・第2子 各 234,800円
第3子以降 各 78,300円

障害厚生年金(2024年度)※括弧内の金額は、昭和31年4月1日以前に生まれた方

厚生年金・障害厚生年金には1~3級、障害手当金があり、1級と2級は、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建ての年金が支給され、3級は障害厚生年金のみ(障害基礎年金はなし)の支給となります。

1級 報酬比例の年金額×1.25+(配偶者加算)+障害基礎年金1級+(子の加算)
2級 報酬比例の年金額+(配偶者加算)+障害基礎年金2級+(子の加算)
3級 報酬比例の年金額 ※最低保障612,000円(610,300円)
障害手当金 報酬比例の年金額×2 ※最低保障額1,224,000円(1,220,600円)

配偶者の加算について

配偶者がいる場合に、以下の額が加算されます。

配偶者 234,800円

(1)初診日要件

疾病にかかり、又は負傷し、かつその疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日において、国民・厚生・共済年金の被保険者であること。

この診療を初めて受けた日を「初診日」といいます。健康診断で異常がみつかった日や、誤診を受けた日が初診日とみなされることもありますのでご注意ください。

なお、未成年の頃(20歳前)からの傷病により障害の状態になった場合や、国民年金に加入したことのある人で、60歳から64歳までの間に初診日のある傷病により障害の状態になった場合は、障害基礎年金の対象となります。

この「初診日」がいつか?によって、そもそも障害年金が受給できるのか?受給できるととしたらどれぐらいの金額なのか?が決まります。よって初診日は大変重要な日となります。

(2)保険料納付要件

原則:初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間の合算期間が3分の2以上あること。

簡単にいうと、初診日までの被保険者であった期間のうち、3分の1を超える期間の保険料が滞納されていなければ大丈夫です。

実際に保険料を納めていた期間だけでなく、正式に保険料が免除されていた期間も、納めていたものとして扱われます。

上記の原則要件には当てはまらなくても、初診日の前日に、その前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ要件を満たすことができます。

特例:初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の滞納期間がないこと。

なお、被保険者でない20歳前の傷病により障害の状態になった方については、保険料納付要件は問われません。

この保険料納付要件が満たされないと、一生この病気やケガを原因とする障害年金を受給することができないので、大変重要な要件となります。

(3)障害認定日要件

初診日から起算して1年6カ月を経過した日、またはその期間内にその症状が固定した場合は、その症状が固定した日に障害等級に該当する程度の障害状態に該当すること。

障害年金を受けられるかどうかは、上述の障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。

例外として、下記の状態になった場合も障害認定日として扱われます。

  • 人工透析をしている場合・・・人工透析開始から3ヶ月を経過した日
  • 心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合・・・装着した日
  • 人工肛門や人工膀胱、人工関節を造設した場合・・・造設した日
  • 手足の切断の場合・・・切断された日
  • 脳梗塞、脳出血などによる肢体の障害の場合・・・初診日から6ヶ月以上経過し、医師が症状固定と判断した日

この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、その翌日から年金が支給されます。これを、障害認定日請求と呼び、もし請求が遅れても最大5年遡って支給されます。

障害認定日には障害等級に該当しなかった場合でも、65歳の誕生日の前々日までに症状が悪化して該当すれば、受給できるようになります。 これを、事後重症請求と呼び、認められると請求した翌月から年金が支給されます。ただし、請求する日までに障害状態に該当していたとしても、遡っては支給されません。

請求に必要な主な書類は以下の4つです。

  1. 受診状況等証明書
  2. 病歴・就労状況等申立書
  3. 診断書
  4. 障害年金裁定請求書

(1)受診状況等証明書

受診状況等証明書は、診断書作成医療機関と初診時の医療機関が異なっている場合に、初診時の医療機関で取得していただく証明書類で、「初診日証明書」とも言われます。

ただし、医師法によってカルテの保存期間は5年となっていますので、初診時の医療機関が5年以上前だったり、初診の医療機関が廃院していた場合は、受診状況等証明書が取れない場合もあります。その場合は「受診状況等証明書が添付できない理由書」を付けて提出します。

請求者が初診日から継続して同一の医療機関で受診されている場合は、提出された診断書によって初診日における医師の証明が確認できますので必要ありません。

(2)病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書(申立書)は、請求者が発病から初診日までの経過、現在までの受診状況および就労状況等について記載する書類です。

請求者側が自ら作成して申告できる唯一の参考資料であり、自分の障害状態を自己評価して行政にアピールできるのは、この申立書以外にないので、できるだけ具体的に、発病から現在までの病状・治療の流れ、日常生活の様子が目に見えるように作成する必要があります。

(3)診断書

診断書は、障害の内容によって8種類に分かれています。通常は1種類の診断書でいいのですが、いろいろな傷病を併発している場合は複数種類の診断書を作成する必要がでてきます。

診断書の内容としては、治療経過・各種検査データ・臨床所見などが中心ですが、その他に、日常生活動作・生活能力・一般状態・労働能力などの、本人でなければ把握できない項目も含まれています。

診断書は医師にしか作成することができませんが、日常生活の様子などは本人に確認しなければ書くことができません。つねに主治医とコミュニケーションをしっかりとって、普段の生活の様子をきちんと伝えることが重要です。

(4)障害年金裁定請求書

障害年金裁定請求書は、請求者の氏名や住所、配偶者や子などのデータ、その他請求にあたっての基本事項を記入する書類で、障害年金の請求は、この障害年金裁定請求書に診断書などの必要な書類を添付して行います。

障害年金裁定請求書は「障害基礎年金」用と「障害厚生年金」用とに分かれます。


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